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Book Guide for Rusties 2002/12

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A: 殿堂入り 5: 読め, 4: まあ面白い, 3: お好きに, 2: つまらん, 1: 金の無駄

12月

辻泰明・NHK取材班「幻の大戦果 大本営発表の真相」NHK出版
大本営発表は嘘ばかりというイメージだが、なぜそうなっていったか (初期の大本営発表は戦果縮小の修正もされるくらい正確だった) というNHKスペシャルの内容を本にしたもの。 ミッドウェイでは戦争プロパガンダ・戦意高揚の範疇の 発表だったが、台湾沖海戦では、一隻も沈んでいない空母を 7隻沈め、軍部や天皇もその真実が知らされず、後の戦略にも 悪影響与えるようになったらしい。この台湾沖海戦を軸に 戦果情報を追う。作戦の戦果確認の難しさ、正確であることより 部下の名誉や自分のプライドい重きを置いた報告、よく言われる 陸海軍の反目などが原因だった模様。 面白いのだが、文中に突然、昨今の雪印などの企業の情報隠蔽と 結びつけるようなお説教が出てきたりして鬱陶しい。
太田垣康男「MOONLIGHT MILE(5)」小学館
宇宙船での戦闘の話になり、ああそういう方向に行ってしまうかー、 とがっかりしながら読み進めたところ、後半から「らしい」展開になり やはり面白かった。
和田ラジヲ「元祖ロッキンラジヲ」イースト・プレス
新刊かと思ったら、 ロッキング・オンから出ていたもの(KISSのカレンダーが 付いていた)が品切れ状態で、 版を改めて、一部追加して再販された模様。 が、やはりKISSの だるまさんがころんだ(デ・ト・ロ・イ・ト・ロッ・ク・シ・テ・ィ)、面白い。
宮嶋茂樹「儂は舞い上がった アフガン従軍記(上)(下)」祥伝社
久々に不肖・宮嶋面白かった。

先月読んだ 「なぜ記者は戦場に行くのか 現場からのメディアリテラシー」 が結局何も書いていないヘタレ本だったのと比べ、 全然すばらしい。

ドキュメンタリーの体裁だけとって眉間にしわ寄せてヌルいインタビューを交わす前者よりも、 不肖・宮嶋の誇張や言い回しや乱暴さがリアルだし、 その中でふっと漏れる文にどきっとするものがある。

安達哲「バカ姉弟(2)」講談社(900円)
シール付きだ。
フルカラーだ(だから少し高い)
1巻では保留していたが、
やはりこれは大傑作だと思う。
善意や悪意や無邪気さや疑り深さが二人の姉弟で描かれている。
なんか偉そうな書き方。

いがらしみきおでいうところの「ぼのぼの」の大転換のような、
安達哲新境地ではないかと。

もちろんまるっきり別人になっていたんではなくて、
根は同じテイストがあるので面白い。
安達哲やっぱすごい

藤田正「メッセージ・ソング」解放出版社
安室から「奇妙な果実」まで、古今東西のメッセージソングの紹介と、後半はその 詳細。 しかし メッセージソングはその背景に切実な問題が控えているわけで、 また、その多くは貧困・反戦・差別なわけで、 出版元の関係だけではないかもしれないが、 日本のメッセージソングとして詳しく挙げられているのが差別を背景にしたものが多い。 だから逆に今現在のほほんと暮らしている人がメッセージを熱く語ろうとすると、 キングキドラのようなアレげな状態になっていくのかなどと思った。
ロム・インターナショナル「世界の紛争地図の読み方」河出書房
そうかルワンダとソマリアって違う国だったのか(←怒られます)。
詳しい地域に関して(私の場合は朝鮮半島や旧ユーゴ周辺)は物足りないが、 それ以外のところはなんでモメているのかが、ちょうどいい具合の概観がわかった。 ダ・カーポの2ページくらいでこれまでの経緯を簡単に書いてるぐらいの情報量。

とはいえ、
後半では少し息切れ。

もうめんどくさいから世界のことはいいや、っていうか腹減ったー、
という気になる罠。

麻生幾「消されかけたファイル」新潮文庫
戦後の事件の舞台裏のシリーズ。
国松長官狙撃事件がうやむやな書き方でなんだかよくわからなかった。
しかし、この人も「深い闇に何かが潜んでいる」という言い回しが好きな人だ。 佐野眞一と一緒に「闇好き」の箱に入れておく。 流行ってるのかなジャーナリスト様の世界では。
この言い回し。

No.
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