まず、
理想気体の状態方程式
PV=NRT
P:圧力(1気圧=1,013ヘクトパスカル=10,130ニュートン/平方メートル)
V:体積(22.4リットル=0.0224立方メートル)
N:モル数(1mol:分子数6.022x10の23乗)
R:気体定数(R=8.31)
T:温度(K:絶対温度 0度C=273.15度K)
というものがありまして、これは、摂氏0度、1気圧の気体の体積が、
22.4リットルになるという状態をあらわしています。
ここで、モル数..というものが出てきていますが、これは、
分子番号6の炭素12(12C6)の質量が12グラムになるような
分子の個数
を表しています。これが、6.022045x10の23乗です。
これによると、窒素分子の場合 1モルはだいたい28グラムです。
ボンベの容積と、内容物の重さからすると、
ボンベの内容物が全部気体だと仮定した場合、ボンベの中は、
とんでもない圧力になっていることになります。
で、
今度は、液体が沸騰する温度(沸点温度)の話。
富士山の頂上で、水が80度Cくらいで沸騰してしまうという話が
ありますが、これは、富士山の頂上は、一般の地上に比べて
気圧が低いということです。
圧力が高くなると、それに合わせて液体の沸点の温度が上昇します。
なので、先の、とんでもない圧力になっているかも知れない..
と言ったボンベの中は、数気圧(または10数気圧)程度の圧力に
なったところで、液体窒素の沸点温度が常温程度になって、
そのほとんどが液体になっている..ということになります。
ごく微量が、気体になって、圧力を維持している..
ということで、ボンベの中は(多分、数気圧‾10数気圧という程度
だと思うのですが..)常温で、液体窒素になっています。
さて、
ボンベから、窒素ガス(気体の窒素)を使う(外に出す)と、
ボンベ内の圧力が下がります。
すると、液体の窒素が気体になろうとして..
(気体になると、ボンベ内の圧力が上昇して..)
という感じで、ボンベ内の窒素ガスが消費された(外に出た)
分だけ、液体窒素だったものが気体になります。
この「液体→気体」の状態遷移の時、「気化熱」というエネルギー
が必要になります。
ボンベの中の液体窒素は、一部の窒素が気化したことによって、
その周囲の液体窒素自体も(気化した窒素に)熱を奪われて、
温度が下がります。この温度の低下分は、当然、ボンベ(器)から熱を
奪います。
(なので、ボンベが冷たくなる←ボンベはその分の熱を外気から奪う)
# この辺りは、ボンベからの窒素ガスの出方にもよりますが、
# わりと緩やかな変化です。
また、ボンベの中にいる窒素は、まだ高圧の状態でいます。これが、
ボンベの口から外に出るときに、急激に減圧されて、1気圧程度に
なります。
この時、急激に体積が大きくなります
この「急激に」というのが重要で、
気体の体積が急激に大きくなる場合には「断熱膨張」と同様の
効果があって、その気体の温度が急激に下がります。
冷えた気体は、当然周囲から熱を奪って、周囲と同じ常温になろう
としますから、絶えずその冷気にさらされている、ボンベの出口や
その付近のホースの部分などは、がんがん冷やされることでしょう。
しかし、そうは言っても、ボンベの口やホースの周辺には(冷えた
とはいえ)大量の空気があって、それは(ゆっくりとであっても)
循環しているので....
ボンベの口元付近のモノは水が凍る程度の温度には下がると思います。
しかし、断熱をしていない空気中では、
いくらなんでも、マイナス100度とか200度にはならないと
思います。
以上、説明おわり。
しかし、周囲には、空気がたくさんありますので、ボンベは常に
暖められている(-196度に比べれば...)ということになります。
なので、常温の場所に置いてあるボンベの中の液体窒素を、液体の
ままで取り出すのは結構大変なことだと思います。
:補足:エア・コンプレッサーは安いもので5万円くらいで入手可
: なので、お金持ちの人やプロはこちらを持っている
: というわけで、貧乏人は空気ボンベを使います。
この空気ボンベですが、数10秒〜数分続けて使用していると、
缶全体に霜が付いてきます(そして空気圧も弱くなってくる)
そして、夏場や梅雨時には、缶の周囲がびちゃびちゃになるし、
冬場なら、場合によっては缶のまわりに薄氷が付きます。
これは、ボンベ中の液体空気が周囲の熱を吸って気化しているので、
がんがん気化していくうちに周囲の温度が下がってきたということです。
No.