2004/11/03: Development -- Macintosh/浦沢Aと浦沢F/発汗
綿棒でかすぎ
(遙かなる1000万PV)
ここからリンクされてる日本綿棒株式会社もイカす。
Writing about music is like dancing about architecture.と言ったのはフランク・ザッパだ(ったと思う)。
音楽について書くことは、建築について踊るようなものだ
というようなことをふまえたりふまえなかったりしつつ、 浦沢直樹の「PLUTO」読んだ。 [amazon] 面白れぇ。
これは浦沢Fの仕業だ。
私は常々浦沢直樹は二人いると主張している。
こういう面白い漫画を描いている浦沢・F・直樹と、 スピリッツにいい加減な漫画を連載して日銭を稼いでいる浦沢直樹Aだ。
どちらがどの漫画を担当しているかは藤子不二雄よりも明らかだ。
古くは「NASA」から「パイナップルARMY」「マスターキートン」「MONSTER」と傑作を描いているのが浦沢Fで、「踊る警官」から「YAWARA」「21世紀少年20世紀少年」と、思いつきで書き流して、辻褄合わなくなったら休載して第3部再開とかごまかしちゃうのが浦沢Aだ。
21世紀少年20世紀少年は浦沢Fと一部誤解されているようだが、
あの後付け感は間違いなく浦沢Aの仕業だ。
FとAが逆じゃないか、と思われるかもしれないが、
本家のFとAは、たとえば笑うセイルスマンは大人向けのブラックな作品と
思われているようだが、ただの子供が考えたブラックさを並べただけな凡庸な作品だ。
あんなものは漫画やそれ以外でもいくらでもある(ヤンジャンの「Y氏の隣人」とか)。
Fの方が見た目に反してブラックなのは周知の通りかと。
しかも藤子Fは代わりがどこにもいない。
うむ。
決めつけは面白い。
浦沢Fの漫画はすべてほとんど原作付きだ。
MONSTER以降は原作が無いんじゃないかと思われるかもしれない。 マスターキートンの勝鹿北星は実際は担当編集者という話を噂の真相で見た。 そこで、現在は原作者をクレジットしなくなったとか書いてなかったか。 でもお詫び記事も見た覚えがあるな。
ということで今回の「PLUTO」を見たら面白かったのが奥付だ。
この担当編集者の数はなにごとだ。
なんだ浦沢直樹は一人しかいなくて、
本人にストーリを作る力がないということなのか。
なにがスーダラダッタだよ。
しかし浦沢直樹の秘密を私は知っている。
以前漫画を整理していたときに、 いろんな漫画10ページにある汗の量を数えていた。
「カイジ」の限定ジャンケンの回の汗の量を1カイジとして、 Excelの表にしていた。 半年ぐらい続けていた。
しかしハードディスクのエラーでそのExcelファイルは消えてしまった。 えびすさんがやはり多かった覚えがある。 山本直樹の作品はどこまでを汗とするか悩んだ。
そんな中でもっとも驚いたのが「MONSTER」だった。 大変サスペンス感の強い作品なのだが、 汗が一つも描かれていないのだ。
手近な浦沢作品をとにかく一つ開いて調べてみてほしい(えらそう)。 あの汗の表現が本当に一つもないのだ。
他の漫画家はどうかというと、 試しに 「週刊ビッグコミックスピリッツ」のNo.48(11/08)号でざっと数えてみた
作(画)者 | タイトル | 発汗量 |
---|---|---|
細野不二彦 | ギャラリーフェイク | 118 |
朔ユキ藏 | つゆダク | 68 |
武村勇治 | 我が名は海師 | 53 |
稲光伸司 | 出るトコ出ましょ | 53 |
玉井雪雄 | オメガトライブ | 49 |
花沢健吾 | ルサンチマン | 47 |
江川達也 | 日露戦争物語 | 36 |
真鍋昌平 | 闇金ウシジマくん | 23 |
阿部潤 | ぢゃんきい | 23 |
吉田戦車 | 殴るぞ | 18 |
山田玲司 | ゼブラーマン | 16 |
村上かつら | CUE | 15 |
三上龍哉 | 極道一直線 | 13 |
中川いさみ | カラブキ | 13 |
小田扉 | 団地ともお | 11 |
安童夕馬 | 東京エイティーズ | 10 |
山本英夫 | ホモンクルス | 10 |
古屋兎丸 | π | 8 |
ナカタニD. | DAWN | 7 |
中原裕 | ラストイニング | 2 |
石原まこちん | THE3名様 | 2 |
東本昌平 | CB感 | 2 |
ホイチョイ・プロ | 気まぐれコンセプト | 2 |
中崎タツヤ | じみへん | 1 |
常盤雅幸 | 寸前爆発 | 0 |
ちなみに「ギャラリーフェイク」はサウナのシーンを除いた。 あー「つゆダク」に関してはいろんなものを除いた。
こんな感じでかなりみなさん汗をかいているのがわかる。
手癖で描いちゃうんだろうな。
少ないのは(2-3ページ作品は除くと) CB感の人はわかるのだが、 中原裕(世界で一番マラソンシーンが多い漫画の人)が少ないのが意外だったが、 たしかにこの人は目の描き方で汗的な表情を出すのがうまい。
ということで「MONSTER」というあれだけのサスペンス漫画で 汗ひとつ描かなかったのは凄いと思ったのだ。 かなり意識しないと難しいのではないだろうか。
なんか大発見みたいに書いているが、専門家が書いていそうだ。 夏目房之介/いしかわじゅん/竹熊健太郎とかそういう テクニカルなことも語れるすごい人たち。 最近そういう研究本が無いので淋しい。
そういうことで「PLUTO」も楽しみだ。
あこれ「ブレードランナー」的な伏線になるな
もう一つ、スピリッツで数えていて発見したことは、
「ホモルンクス」じゃなくて「ホモンクルス」「ホムンクルス」(まだ間違ってた)だったことだ。
これはほんとに大発見
そうだったのか。