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Book Guide for Rusties 2002/09

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A: 殿堂入り 5: 読め, 4: まあ面白い, 3: お好きに, 2: つまらん, 1: 金の無駄

9月

みうらじゅん・安斉肇・山田五郎・泉麻人「輝け!日本崖っぷち大賞」毎日新聞社
平義克己「我敵艦ニ突入ス」扶桑社
佐野眞一「だれが本を殺すのか(2)延長戦」プレジデント社
日垣隆「いのちを守る安全学」新潮文庫
滝本太郎・石井謙一郎「異議あり!『奇跡の詩人』」同時代社
というわけでネットで話題になっていたのは知っていたが
あまり興味がなかったのだが、
先日「ひとが否定されないルール」を読んで、
あこれはひどくないか
と思ってインターネットで調べたら、
あの空中浮遊弁護士滝本氏がずいぶん熱心に番組批判しているようで、
緊急出版されたというこれを買ってみた。

ドーマン法や障害児の専門家などずいぶん詳しく調べたところもあり
NHKの番組の採録も載っている。
無名の2ちゃんねらーもかなり貢献しているようだ。 小出版社の本だけだったらただのトンデモ本ですんでいたと思うが、 講談社とNHKが無防備すぎたな。これは。
滝本氏がなぜ熱心になっていたのかわからなかったが、 あとがきに、 彼自身も障害児を持ち、 事故で亡くしているのことを(オウム騒ぎよりあとだから最近の話だ) 一言だけ書いてあった。
だからよけいに他の障害者とその家族や社会を惑わす無防備なこの騒ぎが 許せなかったのだろう。

枡野浩一編著「愛蔵版 ガムテープで風邪は治る」新風舎
詩人水戸浩一詩集。
装丁がかっこいい。
帯の下には水戸浩一年譜が。

ずっと買えなかったのだが、昨年愛蔵版として復刊したもの。

水戸浩一遺書詩集を枡野浩一がまとめたもの
とずっと信じていて、
読んでみてやっとわかった。
特にどこにも書かれていないが、
つまりは
水戸浩一イコール枡野浩一だと。

気づいてなかったのおれだけ?

感想としては
枡野浩一は詩よりも短歌がいいと思った。

ヒュー・バイアス「敵国日本」刀水書房
真珠湾攻撃の一ヶ月後に書かれ米国でベストセラーとなったという 当時の日本を分析した本。 こりゃすごい。 現在における戦時日本に対する考察とほぼ変わらない。 もしかしてそれは私が敗戦→占領後の価値観の中で育ったせいなのだろうか。
日木流奈「ひとが否定されないルール」講談社
話題だった本。やっと読んでみた
大人扱いしてくれないと不満らしいので、
大人相手のつもりで言うと、
甘すぎ。

「社会とは、いくつもの齟齬感や、違和感や、隔たりの意識が
複雑に交錯しあう過酷な空間にほかなりません」
というやつだ。

そんな外界だからこそ、
全面的に肯定してくれるあなたの母の愛が
何者にも変えられないものであるのではないか。
他人に、
家族や友人のの愛と同様のものを求めること自体が
間違っている。

と本人が書いたつもりで感想を書いたりしているが、
ひどくないか、これ。

なんの予備知識がなくても母親が書いたもの
もしくは
母親の手が入った文章だろう。

ゆるい中年男性作家が描いた小説の女子高生の言葉みたいに
強烈な違和感がある。

たとえば母親の描写父親の描写。
主語を変えればそのまま母親の著書としてそのまま出せそうだ

なんかとてもやーな気持ちになる本でした。

大前研一・田原総一郎「勝ち組の構想力」PHP研究所
面白かった。 しかし大前さん。言っていることは面白くて、それを
「政治家がやらなければ ならない。いつも言っているのになぜ彼らはやらないのか、やろうとしないのか。 このままでは日本はだめになる」
と言うのはわかるんだが、

一方最後の方で、都知事に立候補し、平成維新の会でやろうとしたが、
もう私はあきらめた、 と言っている。

平成維新の会の当時はそれなりの追い風の中にありながら、
改革を掲げ、 議員になり、 立法し官をそれを遂行していく、 という作業の最初の議員を送り出すことができなかった。 できなかったのに つまりそれだけ大変な行為なのだということもわかっていないのだろうか。 都市部の高学歴サラリーマン層の指示を得るだけでは できないということが なぜわからないのだろうか。 と思いました。

高橋源一郎「一億三千万人のための小説教室」岩波新書
文章読本や小説教室は必ず既存のものではだめだ、ということを言いますが、 そのこと自体の凡庸さは語られていたことがないのはなぜだろうか、 などと思いつつ、ここでサンプルに挙げられている文章の半分は 読んでいたのがうれしかった。 しかし晩年の武者小路実篤の文章がよかったです。 (呆けて意味のわからない文章を書いているのに編集者が書き直せとは言えず そのまま公開されてしまったもの)
ステラン・ダニエルソン「日本発見」アミューズブックス
ワールドカップカメラマンの日本旅行記。たった3週間で私より国内を移動しているのではないか。面白い。基本的に好感を持って書かれているので心地よい。勝手ですまん。
林雄司「牛肉きどり」オーエス出版社
先行発売を通販で買った。バッヂ付き。直筆サインとイラスト入り。 とてもうれしい。 グレコローマンかたぎのそね氏もそうでしたが、 この方も端正な文字でした。 内容はもちろん面白かった。
みうらじゅん・伊集院光「D.T.」メディアファクトリー
どうでもいいことについて一冊語り尽くす。 みうらじゅんはえらい。
大槻ケンヂ「リンダリンダラバーソール」メディアファクトリー
どうして大槻ケンヂの文章について私は素直に読めないのかわからない。 面白く読めない。 ワナビーの文章にしか思えないのだ。
春風亭昇太・林家たい平「楽しんだ者勝ち」インフォバーン
「サイゾー」の連載。読んでいたのに買ってしまった。 それだけ面白かったのだ。 「プロジェクトX」は感動的に演出し、「メタルカラーの時代」は その真価がよくわからない山根一眞のゆるいインタビューと親父ギャグのお手軽さが 特徴だが、これは落語家二人がその持ち味でマイスターな親父の懐に潜り込み 親父のわはは自慢をうまく引き出している。これが一番好きだな、3つの中では。
河合単・久部緑郎「ラーメン発見伝(7)」小学館
河合単がんばってます。

No.
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